訳あり物件・事故物件ってどんな物件?

2025.10.12

訳あり物件と聞くと、部屋で事故や事件が起きた物件のことが思い浮かんだり、なんとなくマイナスイメージを持つ方が多いかと思いますが、実際にはいくつか違う種類の「訳あり物件」があります。

 

そして、【訳あり物件=安い】傾向があるため、

「格安な事故物件の購入を検討しているけどやめたほうがいいのかな?」

「相場より賃料も安いし室内も綺麗だけど、訳あり物件だから迷っている」

など、悩んでいたり、悩まれたことがある方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は「訳あり物件」について解説していきます!

 

 

告知義務があるのは4つの瑕疵(かし)

告知義務が必要な不動産の瑕疵には下記4つの種類があります。訳ありと扱われる理由にはさまざまなケースがありますので、詳しく見ていきましょう!

 

― 心理的瑕疵物件

一般的に訳あり物件や事故物件と聞いてイメージされることが多いのは、心理的瑕疵物件です。物件そのものには問題がないものの、心理的抵抗を与えるような瑕疵がある場合はこれに該当します。

 

具体的には、他殺・自殺・事故死など、室内や建物内で事件や事故があった物件のことです。老衰や病死などの自然死であっても、この心理的瑕疵の対象とならず、売主や貸主は告知しなくてよい(※1)とされています

 

(※1):2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によって公表されました。ただしこれは法律ではなくガイドラインの為、実際に裁判等で争われた場合には、どのような結果となるか現在は不明です。

 

― 環境的瑕疵物件

環境的瑕疵物件とは、一般的に多くの人が嫌がる施設(例えば、墓地や葬儀場、指定暴力団の事務所など)が近くにあるなど、住宅の周辺環境に何らかの問題がある物件のことです。

 

他にも、「近隣に迷惑行為を繰り返す住民がいる」「近くにゴミ屋敷がある」「境界トラブルがある」などが環境的瑕疵に該当するケースもあります。

 

ただ、生活への具体的な影響を数値化することは難しく、どのくらいの範囲が瑕疵にあたるのかは人それぞれです。そのため契約書では、環境的瑕疵と思われない事象でも、わずかに思われる可能性がある事は全て契約書に記載(※2)して、その内容に買主・貸主が合意した上で契約する傾向が強いです。

 

(※2)不動産カエルでは、物件紹介中に買主・借主様へ瑕疵と思われる事象をすべて説明します。該当する瑕疵は契約書に全て記載します。

 

― 法的瑕疵物件

法的瑕疵物件とは、建築基準法・都市計画法・消防法など主に建築や建物の安全性にかかわる法的な問題のある物件のことです。

 

例えば、違法に増築してしまって避難経路に支障をきたしていたり、消防点検を怠っていたり、火災報知器や避難はしごなどの設備が古くなっている等のケースが考えられます。

 

基本的に、法律基準を満たしていない場合は「違法物件」にあたるため、新築や築浅などの物件ではほとんど見られません。一方で、築年数が経過している物件では、建築当初は基準を満たしていたものの、その後の法改正によって基準を満たさなくなり、「既存不適格建築物」になるというケースもあります。

 

日常生活において不具合や影響があるものとは異なりますが、違法物件となってしまうため、売却の場合には買い手が付きにくい傾向にあります。法律に適合させてから募集する方が売れやすいですが、その法的瑕疵を告知して売却しても違法ではありません◎

 

― 物理的瑕疵物件

物理的瑕疵物件とは、賃貸物件となっている建物そのものや、建物がある土地そのものに何らかの問題があることです。大きく分けて、「建物の瑕疵」と「土地の瑕疵」があります。

 

■建物の瑕疵・・・床の傾きや雨漏り、シロアリによる床下の腐食等

■土地の瑕疵・・・土壌汚染や地中障害物、擁壁の破損等

 

 

訳あり物件は告知してもらえる?

ここまで読んでいただいた通り、訳あり物件にはさまざまな種類があり、物件を見ただけではわからないことも多いです。自分で見分けることが難しいとなると、「瑕疵がある場合は事前にきちんと教えてくれるのかな?」と心配になりますよね。

 

ですが、大丈夫です。不動産会社には、【瑕疵物件】の告知義務があります!

瑕疵についての情報は、不動産会社が事前に告知しなければならないという決まりがあります。(ただ、告知義務が生じる期間や、告知義務がないケースもありますので、このあと詳しくご紹介します。)

 

そして、初期段階で訳あり物件かどうか判断するには、不動産情報サイトの物件情報に「告知事項あり」「瑕疵あり」の記載があるかをチェックしましょう。この記載がある場合は、何らかの瑕疵に該当する可能性が高いため参考にしてみてください。

 

一方、環境的瑕疵に関しては、人によって捉え方に差があるため「どの範囲までが瑕疵にあたるのか」という明確な基準がないことも事実です。例えば、「騒音が特に苦手」など、回避したい項目がはっきりとしている場合には、住んでから後悔しないためにも事前に担当者に伝えておくことがおすすめです◎

 

― 告知義務について

2021年10月に国土交通省が定めたガイドラインにより、「人の死の告知」の基準が明確化されています。それまでは明確な基準がなく、「事故物件に一度でも別の入居者が住めば、告知義務はなくなる」というような主張も存在しましたが、現在は入居者が変わっても決められた期間は告知しなければなりません。

 

そして、ガイドラインで定められている告知義務の対象は【居住用物件】のみとなり、事務所や店舗、ホテルといった事業用の不動産においては告知の義務はありません。

 

では、具体的に、告知が必要になるのはどんな状況でしょうか? 告知義務の判断ポイントと、どのようなケースがあるのか見ていきましょう。

 

告知義務あり

■自殺、他殺、事故死などがあった物件

■自然死でも発見時の状況によって特殊清掃や大規模リフォームが行われた物件

■全国的にニュースになった事件など社会的影響が大きい事件が発生した物件

■借主・買主から問われた場合

 

告知義務なし

■自然死

■日常生活での不慮の事故(階段からの転落死、入浴中の溺死など)

■隣接住戸や通常使用しない集合住宅の共用部での死亡

 

上記の通り、老衰や病死などの自然死は、基本的には告知義務はありません。ただし、長期間発見されず放置されてしまった場合など、特殊清掃や大規模リフォームをしたかどうかによっては例外的に告知義務の対象となります。

 

― 告知義務の期間

国土交通省のガイドラインでは、賃貸においての告知義務が生じる期間は、事故発生からおおむね3年とされています。

 

【賃貸】

■告知義務が生じる期間:原則3年間

■注意点:3年経過後も借主(または入居希望者)に聞かれた場合は伝える必要あり

 

【売却】

■告知義務が生じる期間:無期限(時効なし)

■注意点:売却の場合は事故後、何年経過しても告知する必要あり

 

自然死や不慮の事故などの後に特殊清掃が行われた場合でも、3年が経過すれば、告知は不要ということになります。ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案はこの限りではなく、3年経過後も告知が必要なケースがあります。

 

 

訳あり物件は住まないほうがいい?

さて、冒頭に出てきたように、世間的にも【訳あり物件=安い】というイメージあるかと思います。賃貸物件に住むとき、気になるポイントは人それぞれですが、もし「訳あり」の内容がその人にとって気になるポイントでなければ、その訳あり物件はストレスなく家賃を抑えられる掘り出し物といえます。

 

また、物件に瑕疵があるからといって、住むことで必ずしも問題が起こるという訳ではなく、物件によっては利便性が高く、経済的に魅力的な場合もあります。ただ、入居後に精神的なストレスを感じる可能性(些細な物音が気になる等)もありますので、その点も含めて考慮することが大切です。

 

気に入った物件が「告知事項あり」で契約を迷っているという方は、一度不動産会社に内容を確認してみてください。住み始めてから後悔することがないよう、疑問点などがあれば事前に解決しておくのがおすすめです!

 

 

川口市のお部屋探しは不動産カエルへ!

お部屋探し以外にも、貸主様からのご相談も承っております。

 

「所有している賃貸物件が瑕疵物件となってしまい次の入居者がなかなか決まらない」

「相続した家が訳あり物件で、売却できるのか心配している」

 

など、不動産に関するお困りごとがございましたら、一度ご相談ください。当社は、アパートやマンションなどを所有して運用している「大家」でもありますので、オーナー様の目線に立ってサポートいたします!

 

 

 

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