不動産オーナー様必見!貸付用不動産の「5年ルール」について
2026.11.3
これまで、相続税対策として賃貸アパートなどの「貸付用不動産」を活用してきた不動産オーナー様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
現金で保有しているより相続税評価額が低くなり、さらに第三者に貸し付けている場合には、土地や建物の評価額が一定程度減額されます。
「不動産を買えば相続税が減らせる」と、いうのは長年の常識でした。
しかし、令和8年度(2026年度)税制改正により、貸付用不動産の相続税評価方法が見直されることになりました。
その中心となるのが、いわゆる「貸付用不動産の5年ルール」です。
これまでの常識が大きく揺らぐルール変更となりますので、
今回の改正で何が変わるのか?
対策はあるのか?
気になる点を詳しく解説していきます!
貸付用不動産の5年ルールとは?
一言でいうと、
「相続や贈与の前5年以内に取得・新築した不動産は、従来の路線価や固定資産税評価額ではなく、『通常の取引価格(時価)』を基礎として評価する」
と、いうルールです。
相続税対策として検討されてきた不動産の購入や賃貸物件の新築についても、取得するタイミングや保有期間によって、期待できる相続税対策の効果が変わる可能性があります。
一方で、今回の見直しによって、すべての貸付用不動産が従来のような評価減を使えなくなる(一律で時価評価になる)と、いうわけではありません。
今回の対象となるのは、あくまで、
「相続や贈与の前5年以内に購入・新築した一定の貸付用不動産」
です。
従来の評価減が使えるケース
■保有期間が5年を超えている不動産
■長期にわたり所有・運用している賃貸物件
ただし、
「5年経過すれば問題ない」とは限らず、
判定基準は、
「相続や贈与が発生した時点からさかのぼって5年以内かどうか」
ですので、起算点に注意しましょう。
いつから適用される?
2027年(令和9年)1月1日以後に相続、遺贈または贈与によって取得する財産の評価から対象となります。
今後の相続対策を検討する際には財産を取得した日だけでなく、
■相続や贈与が発生する時期
■物件の種類
■取得方法
などを総合的に確認する必要がありそうです◎
新ルールの大きなポイント
これまで、実際に購入するために支払った金額や市場で取引される価格と、相続税の計算に用いる評価額との間に大きな差が生じるケースがありました。
今回の見直しでは、この価格差を利用した相続税対策に一定の制限が設けられます!
ここから具体的に、どのような点が見直されるのか、重要ポイントを見ていきましょう。
時価ベースでの評価
従来の制度では、取得して間もない賃貸用不動産であっても、土地は路線価など、建物は固定資産税評価額などを基礎として評価することが一般的でした。
しかし、今後は一定の貸付用不動産について、取得時期が相続や贈与の前5年以内に該当する場合、これまでの路線価ベースでの評価は認められず、“いま売るなら”この価格(時価)を基礎として評価します。
このため、取得時の購入価格がそのまま使えるわけではなく、
「取得後の地価変動」「建物の状態」「減価償却」
などを考慮した時価が算定されます。
「取得価格を基礎とした80%評価」が認められる場合もある
新ルールでは、課税時期の時価で評価するのが原則とされていますが、課税上の弊害がない限り、取得価額を基礎として評価額を算定する方法を選択することもできます。
ただし、単純に購入価格に80%を掛けるわけではありません。
取得後の地価変動などを考慮し、建物については減価償却による価値の減少などを反映したうえで、
一定の安全性を考慮した80%相当の評価額を用いる方法が想定されています。
土地:取得価額 × 地価変動率 × 80%
建物:(取得価額 – 減価償却費相当額)× 80%
例えば、取得価格が1億円の不動産について、
「取得時から課税時期までの価格変動や建物の価値の減少(償却分)を考慮した金額が8,500万円」
となる場合、そこから所定の計算を行うことになります。
このように、物件ごとの個別計算が必要になるため、
単純な「購入価格×0.8%」で計算するわけではありません。
今のうちに確認しておきたい3つの対策
新ルールの導入に向けて、不動産オーナー様は、次の3点を確認しておきましょう。
①所有物件の「取得日」を正確に把握する
まずは、所有している不動産の取得日を確認しましょう。
「土地と建物を別々に取得した日」
「建物を建築した日」
をそれぞれリストアップし、令和9年以降に「5年超」となる物件はどれかを明確にしておくことが第一歩です◎
②令和8年12月31日までの生前贈与を検討する
取得から5年以内の貸付用不動産をお持ちの場合、新ルールが本格適用される前の「令和8年中」に贈与を完了させることが強力な対策の一つとなります。
現行の路線価ベース評価が認められ、将来の相続発生時の持ち戻し計算も「贈与時の評価額」で行われるためです。
【注意点】
■借入金や預かり敷金などの債務と一緒に贈与する「負担付贈与」は時価評価となります。
■過度な節税対策だと見られるリスクもあります。そのため、専門家への相談・設計が不可欠です。
③専門家に早めに相談する
5年ルールが資産に与える影響は、所有の資産規模や家族構成によって大きく異なります。
自己判断で進めると、想定外の税負担が生じる場面も多いです。
インターネット上の一般的な情報だけで判断せず、相続税や不動産税務に詳しい専門家へ早めに相談し、まずは複数の選択肢を比較することが大切です。
まとめ
貸付用不動産の5年ルールは、これまでの相続税対策に大きな影響を与える改正です。
「5年以内だからダメだ」
と、期間にだけ注目するのではなく、まずは、
「保有している不動産の取得日や現状の評価額を正確に知る」
ことから始めましょう◎
そして、相続対策の本質は、税金を安くすることだけではなく、
「大切な財産を次の世代へ円滑に引き継ぐこと」
です。
今回の改正をきっかけに、保有する不動産の評価額や収益性を確認し、ご自身の資産全体を見渡した長期的な計画を検討してみてはいかがでしょうか。
不動産カエルでは宅地建物取引士が在籍し、
司法書士・弁護士・税理士とも提携しているため、
煩雑な手続きや名義変更、売却、税金対策まで当社が窓口一本でワンストップサービスでサポートすることが可能です◎
ぜひお気軽にご相談ください。
