【購入事例】事前調査でトラブル回避!
2025.10.30
不動産売買の取引では、引き渡し後にトラブルになるケースがあります。例えば、売主・買主どちらも問題に気づいておらず、契約を交わした後に発覚することもあります。
後々のトラブルを可能な限り避けるために仲介業者ができることは、物件についてよく調べて状況をしっかり把握することです◎今回はそんなエピソードをご紹介します。
今回のケースでは、事前調査の段階で発覚したため大きなトラブルは回避できましたが、これから不動産の購入を検討している方は「そんなこともあるんだぁ」程度にでも参考になれば嬉しいです!
物件探しのご相談
ご来店されたお客様は中古戸建をメインで物件を探しており、今回はそのお手伝いをさせていただくことになりました!
いくつか物件をご紹介した中で、他社が募集している売中古住宅のご案内をさせていただいたところ、お客様もその物件を気に入って下さり、そのまま申込を貰い、契約書の事前確認を行うところまでトントン拍子に進みました。
当社の営業担当は、他社からの物件情報でも一から、役所、法務局、水道局、ガス供給会社それぞれ廻り、自分で調べます。昔は当たり前の行為でしたが、最近はDXが進んだりしたこともあり、他社の物件情報を調査する会社は減りつつあります。
しかし、書類に間違いがあった場合、法的には取引に参加する全ての媒介不動産業者の共同責任となってしまうのです。
トラブル発覚!?
さて、他社からの物件をガス調査の一環で、東京ガス(いわゆる都市ガス)に配管図を依頼したところ、なんと、配管図では本物件に都市ガスが供給されていませんでした。
しかし、 他社の物件情報である販売広告図面には【都市ガス】と堂々と記載してあります。その後、調査を続けると、該当物件はもとより都市ガスでなく、実際には【集中プロパンガス】という、珍しい設備が供給されていました。
※集中プロパンガスとは、複数の住宅や集合住宅に対して、一ヶ所に集約されたプロパンガスボンベからガス管を通じてガスを供給する方式のことです。珍しい設備ですが、特に都市ガスが整備されていない集合住宅や地域では、都市ガスに代わるインフラとして使われています。
売主の仲介業者へ伝えると、『前の売買契約書に記載されていた不動産業者の重要事項説明書を、そのまま広告にしただけ』との言い分です。話の証拠として見せられた【前の重要事項説明書】には、都市ガス(有り)と記載がありましたが、だからといって何ら責任逃れにはなりません・・・。
お客様には、事情をご説明して、ご納得いただけたため大きなトラブルにならず、無事にご契約いただけました。
今回は、事前に調査した結果、契約前に集中プロパンガスが供給されていることが分かりましたが、もし調査をしていなかったら、もし気付かずに契約していたら、後からトラブルに発展していたかもしれません。今回のケースに限らず、不動産を引き渡した後にトラブルになると、売主は買主から【契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)】を問われることがありますので、注意が必要です!
契約不適合責任
契約不適合責任とは、これまで「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」といわれていたもので、「買う約束をした物が現物と異なる」場合に、売主が買主に対して負う責任です。
中古戸建の契約不適合責任でよくあるのは、雨漏りや設備の故障といった物理的瑕疵が見つかるトラブルです。例えば、中古戸建を購入して入居後すぐに雨漏りが見つかった場合、それが契約不適合にあたるかどうかは、契約書に「雨漏りがある」と書かれているかどうかによります。契約書に「雨漏りがある」と記載されていれば、契約不適合には該当しませんが、記載されていない場合は責任を問われる可能性があります。
不動産売買の取引では、売主しか知らない情報も数多くありますので、正確に物件の状態を把握しないと、引渡し後に思わぬ責任が生じることがありますので、大切なポイントは、売却前に売却する不動産がどのようなものであるかしっかりと把握することです◎
また、民法上は、「買主が不適合の事実を知ってから1年以内に申し出れば、売主は契約不適合責任を負わなければならない」としていますが、契約不適合責任は「任意規定」であり、法律上の定めよりも当事者間での合意内容が優先されます。
そのため、当事者同士が同意していれば「通知期間を短くする特約」を定めることも可能です。
■売主が個人の場合
契約不適合責任の期間は、双方の話し合いで決めることができるが、引き渡しから2~3ヶ月程度が一般的
■売主が不動産会社(宅建業者)の場合
宅地建物取引業法により、契約不適合責任の期間は、引き渡しから2年以上としなければならない
契約不適合責任の内容は「追完請求」「代金減額請求」「契約の解除」「損害賠償」の4つの要素がありますが、できることなら責任を問われるのは避けたいものですよね。契約不適合責任を請求されないためには、契約時に特約を締結しておいたり、通知期間を設定しておくなどの工夫が必要です。また、契約不適合責任を特約によって免責する場合には、売主は住宅の瑕疵などを売買契約書にしっかり記載するようにしましょう◎
まとめ
今回ご紹介したエピソードのように、物件情報に誤りがあるケースもあります。このようにプロでも、しっかり裏付けのある調査をしない事が増えてきて、後々トラブルに発展する可能性があることを改めて危険だと感じました。特に、不動産の売却・購入は『大手だから』『ベテランの営業マンだから』必ずしも良いというわけではなく、『信頼できる優れた営業マン』に担当してもらうことが最重要ポイントとなります◎
このコラムを読んでくださっている皆様も、調査して欲しい物件や不動産がありましたら、ぜひ不動産カエルへご相談ください。最後までしっかりと調査いたします!また、大手の不動産会社で断られた物件、売却を検討している土地でトラブルを抱えている、などお困りごとがあれば一度不動産カエルにご相談ください。過去の事例も踏まえて、柔軟かつ粘り強くサポートいたします!

