大家さん向け「家賃アップ」の基本

2025.6.3

大家さんにとって「入居中」の家賃の値上げは勇気のいる決断ですよね。内心では「そろそろ家賃を上げたいなぁ」と思っていても踏み切る勇気がないオーナー様も多いのではないでしょうか。

 

ただ近年は、金利や固定資産税の上昇、修繕にかかるコストの増加、全般的な物価上昇の影響もあり、家賃値上げの交渉に踏み切るオーナー様も増えてきています。

 

しかし、いざ家賃を上げたくても入居者さんからの「値上げ拒否」に直面することもあります。そこで今回は【値上げのタイミング】や【交渉のポイント】をご紹介していきます!

 

家賃アップを検討しているオーナー様の参考になれば嬉しいです。早速みていきましょう!

 

 

周辺物件の家賃相場と比較する

家賃アップの交渉を行う場合、単なる値上げではなく、増額にいたる根拠を示す必要があります。

値上げ額を決めるためには、まず現在の家賃が適正かどうか把握しましょう。調べ方としては、同じエリア内で、オーナー様の所有物件と類似している競合物件をいくつかピックアップして、家賃を比べてみてください。

 

 

 

 

ただし、所有物件の家賃が相場より明らかに安かったとして、周辺相場に合わせたくても、突然の大幅な値上げは入居者さんからの反感を招く恐れがあります。

 

全国賃貸住宅新聞🔗 によると、全国の管理会社を対象に管理物件における家賃の値上げ状況を調査した結果「値上げした」と回答した管理会社は51.7%でした。さらに、「これから実施予定」を含むと61.8%と半数以上の管理会社で家賃の値上げが行われるという結果になりました。

 

具体的な値上げ額、値上げ率は以下の結果をご覧ください。

 

【平均値上げ額】

■1,000円~3,000円未満 ⇒ 63.6%

■3,000円~5,000円未満 ⇒ 28.6%

 

【値上げ率】

■家賃の3%未満 ⇒ 35.1%

■家賃の3%~5%未満 ⇒ 33.8%

 

この結果をみても、多くのオーナー様は入居者さんに負担を感じさせないように値上げ幅を設定していることがわかりますね。このように値上げ額を決めるときは「入居者さんが受け入れられるかどうか」がポイントです◎

 

値上げによる退去リスクは?

家賃の値上げをきっかけに「退去されてしまうのではないか」と心配になるオーナー様もいらっしゃるかと思いますが、正当な値上げであれば退去リスクはそれほど高くありません。

 

入居者さんにとって、値上げを理由に退去するとなると【引っ越し代+新賃料の4~6ヵ月分くらいの初期費用】がかかることになります。そのため、物件にそれほど不満もなく、正当な値上げであれば、「多少家賃が上がってもここに住み続けるほうが得だな」と思ってもらえるからです。

 

値上げを拒否されることもある

家賃の値上げをする時に考えられることの一つとして、値上げを拒否されてしまうこともあります。

借主の立場からすると、家賃は生活費のなかでも大きな割合を占めるため、値上げはできるだけ避けたいはずです。値上げの理由が不明確だったり、値上げ幅が大きかったりすると拒否される可能性が高くなるでしょう。

 

家賃の値上げは、借地借家法第32条に基づく「借賃増減請求権」によるものですが、あくまで請求できる権利です。そのため、借主には拒否する権利があり、値上げに同意していない借主が値上げした分の家賃を支払う義務はありません。

 

もし、値上げを拒否されてしまったら柔軟に対応するのが得策です。例えば、値上げ額を減額する(3,000円の値上げが無理なら1,000円で再交渉してみる)、値上げの時期を延期する、などお互いが妥協できる条件をみつけましょう!

 

 

家賃改定のタイミング

家賃の値上げ時期には法的な決まりはありませんが、契約更新と合わせたほうが交渉がスムーズです。

 

 

 

 

オーナー様としてはなるべく早く新しい賃料を適用したいところではありますが、あまりに急な話だと入居者さん側の心証が悪くなってしまうこともあると思います。

 

家賃アップをスムーズに成功させるためにも、契約更新の2~3ヵ月前には入居者さんへ通知するのが望ましいです。値上げを伝えた後は、十分に検討できるように、適切な時間を設けるようにしましょう。これにより、急な通告によるトラブルを回避することができます。

 

契約更新の2~3ヵ月前には通知するとなると、契約更新の半年前くらいから周辺物件の家賃相場を調べ始める必要があります。この時点で管理会社にも相談しておくと安心です◎

 

 

家賃アップをスムーズに進めるために

今回ご紹介したポイントのほかにも、家賃アップには細かいテクニックや手続きが必要になる場面もあると思いますが、管理会社にも相談しながら進めるのがベストです◎

 

また、値上げをするときは何より誠意をもって説明し、理解を求める姿勢が大切です。万が一、交渉が難航してしまっても、借主に対して強引に合意を迫るような行為はよくありません。

 

本文の通り、値上げにおいては「正当な理由」と「その根拠となるデータ」、「十分な猶予期間」が必要となりますので、計画的に進めるようにしましょう!

 

そして!

日頃から、共有部分のメンテナンスを行ったり、管理業務に気を配って入居者さんの不満がでない環境づくりが大切です。また、「給湯器が壊れた」など、設備トラブルが起きた時にはできるだけ素早く対応することで入居者さんの満足度も高まるでしょう◎

 

さて、この記事を読んでくださっているオーナー様はもちろん、その他にも家賃に関するお悩みや、空室対策、節税対策、リフォームなど、賃貸経営に関するお悩み事がございましたら、お気軽に不動産カエルまでご相談ください!

 

 

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