【マイホーム売却】知って得する特別控除と軽減税率

2025.3.22

マイホームを売却するときは誰でも、「損はしたくない」「高く売りたい」と考えるものです。とはいえ、家を売って利益が出ると譲渡所得税を支払わなくてならず、税率も高くなります。

 

「損はしたくないけど高い税金を払うのも嫌だなぁ」と考えると、自宅の売却はかなり悩ましい問題になりますよね・・・。しかし、長期間所有した居住用財産(自宅)の場合には「10年超所有軽減税率の特例」を受けることができ、譲渡所得税を少なくすることが可能です◎

 

また、10年超所有軽減税率の特例は「居住用財産の3,000万円控除」と併用することができ、自宅を売却する際には必ず検討したい特例です。これらを活用できれば大きな節税に繋がります!

 

今回は、長年暮らしたマイホームを売却する時に役立つ特例について詳しくご紹介します。10年以上所有したマイホームの売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

 

譲渡所得税とは

譲渡所得税とはマイホームを売却して利益が出た場合にかかる税金です。詳しくいうと、不動産の譲渡をした際にかかる「所得税」「住民税」を総称して、譲渡所得税と呼ばれています。

2037年12月までは復興特別所得税も発生します。

 

「譲渡所得」と「譲渡所得税」はそれぞれ次のように計算できます。

 

■ 譲渡所得 = 売却価格 - (物件の取得費+諸経費)

■ 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 譲渡所得税率

 

そして、譲渡所得税は、売却した不動産の所有期間によって適用する税率が異なります。譲渡所得がマイナスの場合は、譲渡所得税が課税されることはありません。

 

【長期譲渡所得】 

所有期間:家を売却した年の1月1日時点で5年を超えるもの

所得税(復興特別所得税を含む):15.315%

住民税:5%

合計:20.315%

 

【短期譲渡所得】 

所有期間:家を売却した年の1月1日時点で5年以下のもの

所得税(復興特別所得税を含む):30.63%

住民税:9%

合計:39.63%

 

 

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例とは、居住用不動産(マイホーム)を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超える場合に、譲渡所得に対して軽減税率を適用できる特例です。

 

3000万円控除特例と併用することができ、譲渡所得が6,000万円以下の部分について軽減税率を適用を受けることができます。

 

その結果、譲渡所得税や住民税などを合わせて通常約20%の税率になるところ、14.21%まで税率が下がります。詳細は下記をご覧ください!

 

10年超所有軽減率の特例の税率

【譲渡所得6,000万円以下の部分】

所得税(復興特別所得税を含む):10.21%

住民税:4%

合計:14.21%

 

【譲渡所得6,000万円超の部分】

所得税(復興特別所得税を含む):15.315%

住民税:5%

合計:20.315%

 

このように、譲渡所得6,000万円以下という制限はありますが、通常の譲渡所得にかかる税率より6.105%も少ない税率で計算をすることができますので、大きな節税に繋がるでしょう◎

 

軽減税率の適用要件

10年超所有軽減率の特例を利用するためには、次の適用要件を満たす必要があります。所有期間などを確認しておくようにしましょう。

 

住んでいる家屋(その敷地も含む)を売ること

住んでいない場合は、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売ること

売った年の1月1日で売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること

売った年の前年、前々年に軽減税率の特例を受けていないこと

売った家屋や敷地について、買換えや交換など他の特例の適用を受けていないこと

親子や夫婦など「特別な関係がある人」に対して売ったものでないこと

 

【更地にした場合】

家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること

家屋を取り壊してからその土地を貸駐車場等、その他の用に供していないこと

 

 

3,000万円特別控除と併用可能

10年超所有軽減税率の特例の大きな特徴は「居住用3000万円控除の特例と併用することができる」ことです。この特例は、自宅の譲渡に関する特例では知名度が高く、利用数も多い特例です。

 

また、不動産の所有期間に関係なく控除が受けられて、節税効果が大きいため、自宅を売却する際には必ず検討したい特例でもあります。

 

居住用財産の3000万円特別控除とは?

不動産を売却したときに条件を満たすマイホームの売却で譲渡所得から「最高3,000万円までを控除できる」というものです。

 

簡単にいうと、不動産売却の利益(譲渡所得)が3,000万円以下なら、3,000万円の特別控除を利用すると譲渡所得は0円になり、税額は発生しないことになります。

 

しかし、譲渡所得が発生し、2つの特例を併用する場合には、まず3,000万円の特別控除を適用し、そのあとの譲渡所得に対して軽減税率を適用させる順序になります。

 

特別控除の適用要件

住んでいる家屋(その敷地も含む)を売ること

住んでいない場合は、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売ること

売った年の前年、前々年に居住用財産の「3,000万円特別控除」または「マイホーム譲渡損失についての損益通算及び繰越控除」の特例を受けていないこと

売った家屋や敷地について、買換えや交換など他の特例の適用を受けていないこと

親子や夫婦など「特別な関係がある人」に対して売ったものでないこと

 

【更地にした場合】

家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること

家屋を取り壊してからその土地を貸駐車場等、その他の用に供していないこと

 

 

10年超所有軽減税率の特例を利用する場合の注意点

■所有期間について

軽減税率の特例を使う場合、この特例は「売却した年の1月1日時点」で10年を超えている必要があります。所有期間が10年と思っていたところ、実は日数が足りなくて適用できなかったというケースもありますので、所有期間のカウントには注意しましょう。

 

また、10年を超える条件は住んでいた期間ではなく、所有期間に対するものです。居住用不動産(マイホーム)にしか適用できないため、短期間だけ住んでいたようなケースでは自宅として認められない可能性もあります。

 

■確定申告が必要

不動産を売却したら自動的に適用される特例ではないため、確定申告が必要です。マイホームを譲渡した翌年の2月16日~3月15日の間で確定申告を忘れずに行いましょう。

 

なお、特例によって税金が0円(かからない)になる場合でも確定申告が必要となりますので、注意してください。

 

 

まとめ

自宅を含めた不動産の譲渡には様々な特例がありますが、今回ご紹介した特例は併用することで大きな節税効果を発揮します◎

ただし、特例を使って譲渡する場合は適用条件が重要であり、大事な部分を見落としてしまう可能性もあるでしょう。そのようなことを防ぐためにも、不動産の売却を検討するなら、専門家のアドバイスを受けられると安心ですよね!

 

そんな時は! 不動産カエルまでご相談ください。法律・税制の専門家である宅地建物取引士がご相談を承ります。

適用できる特例を上手く利用し、マイホームの売却における税負担を軽減しましょう◎

 

 

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