相続について知ってほしいこと
2025.10.30
相続は、一生に何度も経験するものではありませんが、「ご自身の財産を残すとき」「親などの財産を受け継ぐとき」には必ず発生するものです。
そして、相続をきっかけに、ときに大きなトラブルに発展することがあります。「相続でもめるのはお金持ちの家の話」などと思われがちかもしれませんが、相続でもめる原因は金額ばかりではなく、どの家庭でも起こる可能性があります。
トラブルを防ぐためには、相続人が、相続のルールや仕組みを理解して、必要な準備をしたり、家族で話し合ったりすることが大切です◎今回は、そんな【相続の基本】についてご紹介していきます!
相続の基本
相続とは、亡くなった人の財産を、配偶者や子供など遺された家族に引き継ぐことです。なので、人生の中で相続を体験するのは、「家族が亡くなったとき」ということになります。
誰が相続の対象になるのかというと、相続できるのは配偶者や子供だけでなく、もし亡くなった人に子供がいなければ、親が相続することができます。子供も親もいなければ、兄妹が相続することも可能です。さらに、遺言があれば、家族以外の人に遺産を渡すこともできます。
自分には無縁の話だと思っている方も多いかもしれませんが、相続はお金持ちとかそうでないとかは関係なく、誰しもが体験する可能性がある、実はとても身近なこと だといえます!
相続の対象となる財産
相続における財産とは、亡くなっていた人が持っていた権利のことですが、預金や不動産などのプラスの価値を持つものだけでなく、借金などのマイナス財産も相続の対象となってしまいます。
主に対象となる財産は次のようなものです。
【プラスの財産】
■現金、預貯金
■有価証券(株式、債券など)
■不動産(土地、家屋)
■不動産上の権利(借地権、借家権、抵当権など)
■一般動産(自動車、貴金属、骨董品など)
【マイナスの財産】
■借金、住宅ローン
■未払いの税金
■未払いの費用(水道光熱費、医療費、滞納家賃など)
このように、相続における財産とは「貰って嬉しいプラスの財産」ばかりではありません。亡くなった人が抱えていた借金や未払金も財産となります。
借金も必ず相続しないといけないの?
結論からいうと、相続は拒否することもできます。
相続放棄・限定承認という制度を使えば、借金を相続する必要はありません。ただし、この制度を利用するためには期限内に申請する必要がありますので、万が一、なにも申請をしないと、自動的に借金まで相続することになるため要注意です。
【相続放棄】
内容:亡くなった人(被相続人)の財産をすべて相続しない
期間:相続の開始があった事を知った日から3ヶ月以内
手続き:放棄する相続人が単独で家庭裁判所に申し立てる
【限定承認】
内容:相続によって取得したプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を引き継ぐ
期間:相続の開始があった事を知った日から3ヶ月以内
手続き:相続人全員で家庭裁判所に申し立てる必要がある
限定承認とは、プラス財産とマイナス財産のどちらが多いかはっきりしないときに選択肢の一つとなる方法です。簡単にまとめると、相続によって得たプラス財産の範囲内でマイナス財産(借金など)を支払う方法です。
たとえば、被相続人(亡くなられた方)の財産が3,000万円で、借金が5,000万円あった場合、単純にすべての財産を相続すると、借金が財産を超えているため、5,000万円を相続人が返済しなければなりません。一方、限定承認を選択すると、相続した財産の範囲内である3,000万円だけを返済すれば済むということです。
ただし、この限定承認は、相続人全員の同意が必要なことや手続きが複雑で時間もかかることから、実際に利用する人はかなり少ないです。
相続税は誰でもかかるの?
相続税とは、財産を受け継いだ相続人が、国に対して支払う税金です。すべての財産にかかるわけではなく、現金や預貯金、土地や建物、株式や有価証券など、金銭に見積もることができる経済的価値のあるものが対象となります。
相続税は、【相続財産(課税価格)の総額が基礎控除額を上回る人】だけが支払います。では、どうして相続税を支払わないといけないのかというと、国が徴収する主な理由は以下の3つです。
①不公平感をなくすため
働くことで得たお金には所得税がかかっているのに、相続で得た多額の財産には税負担がないとなると、不公平感が生じますよね。「お金持ちの親を持つと、得をするのか!」と不公平に思う人も多いはずです。その不公平感を解消するための手段として、相続で得た財産に税を課すことで、働いて所得税を払っている人との間の公平を図っています。
②社会の格差をなくすため(富の再配分)
もし相続税がなければお金持ちの家に生まれた人は、代々ずっとお金持ちであり続けて、裏を返せば、貧しい人たちは常に貧困に苦しむことにつながっていきます。貧富の差が広がると、社会の安定が損なわれる恐れがあります。結果、相続税を徴収して社会全体の役に立つ形で活用することで富を再分配し、格差をなくしていこうというわけです。
③所得税を補完するため
所得税には非課税措置や軽減措置があり、それらを使うことで節税対策ができます。また、本来は所得を生み出すことのできる財産を、被相続人がそのように使わなかったことで所得税を払わないで済んでいたいう考えもできます。被相続人に多額の財産があれば、そこに生前に徴収しきれなかった税金があるとみなして、相続のタイミングで清算してもらうというのが、所得税の補完機能です。
まとめ
今回は、相続の基本について簡単にご紹介しましたが、「相続とは何か」ざっくりとイメージを持っていただけましたでしょうか。
相続と一口に言っても、さまざまな手続きが発生します。法律の知識が必要になったり、仕事との両立や相続人の調整など、複雑で時間がかかるケースも想定されます。
このコラムを読んで、「自分の場合はどうなるんだろう?」と不安に思った方は、ぜひ一度ご相談ください。不動産カエルでは、専門家とともに相続税をシュミレーションしたり、遺言書で遺産分割方法を事前に決めたり、できる限り相続問題や共有問題の防止に努めています。
相続が発生する前に専門家に相談しておくと後々トラブルになることも避けられますので、少しでもご不安なことがありましたら、事前相談がおすすめです!お問い合わせをお待ちしております!

